自家細胞と他家細胞

幹細胞がもつホーミング効果を利用して行う再生治療ですが、投与する幹細胞が2種類あり「自分から」採取した細胞を培養するか、「他人から」採取した細胞を培養するかでメリット・デメリットが変わってきます。

  • 自家細胞:患者本人(自分)の細胞を培養した細胞です。患者本人の細胞が用いられるため、免疫拒絶を受ける恐れや感染症にかかるリスクがないことがメリットであるものの、細胞の処理に時間がかかるため費用が高額になりがちです。
  • 他家細胞:患者以外(他人)の健康な細胞提供者(ドナー)の細胞を培養した細胞です。1人のドナーからたくさんの患者様のための細胞を用意できるため、安価な費用で多くの患者に提供が可能です。デメリットとしては、まれに起こる*免疫拒絶やドナーが持つ感染症への**感染リスクがあげられます。

*免疫拒絶リスク:間葉系幹細胞には、炎症に加えて免疫をも抑える能力があります。故に、他人ほかの方の組織由来の間葉系幹細胞であっても使用することができるのです。通常、他人の臓器や組織を体内に入れると、異物と判断した免疫が作用しその臓器や細胞を攻撃するようになります。攻撃を受け続けた臓器や組織は、最終的にその機能を失ってしまいます。たとえば、私たちの消化器の領域で行われる治療の1つである肝移植では、ほかの方の肝臓を移植すると免疫が反応して攻撃を行います。このため、肝移植を行った場合には、免疫が作用しないよう生涯にわたり免疫抑制剤を服用しなければなりません。しかし、他人の組織由来の間葉系幹細胞を体内に入れたとしても、免疫に拒絶されることなく炎症の場所を制御するよう指示を出すことができるのです。 **感染症のリスク:ドナーは細胞の提供を行う前に厳しいメディカルチェックが行われるため、感染するリスクは限りなくゼロに近いといえます。

必要に応じて、ダメージを受けている局所に幹細胞を注射したり、点滴として全身に投与する場合もございます。医師から十分な説明を受け、理解・納得をした上で治療を受けてください。